お前はお前のガンダムで行け。映画「レディプレイヤー1」レビュー

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今週のお題ゴールデンウィーク2018」

今年のGWは映画ばっかり見てました…!前回の記事の「アベンジャーズ/インフィニティウォー」見てきました(ネタバレなし)といい、その後もキャプテンアメリカ・ウィンターソルジャーを家で見たり(これも大変良い映画でした!アベンジャーズ見る前の方にもおすすめ!)。そして見てきましたよ「レディプレイヤー1」!もう何てことないシーンでも泣けてねえ…。

ざっくりのあらすじ

2045年。環境汚染や気候変動、政治の機能不全により、世界は荒廃していた。そのため、スラム街で暮らさざるを得ない状況に陥った地球上の人口の大半は<オアシス>と呼ばれる仮想現実の世界に入り浸っていた。

オアシス内では現在、創始者であるジェームズ・ハリデーが亡き後流された遺言により、勝者にはオアシスの所有権と5000億ドル(日本円で56兆円[4])相当のハリデーの遺産が授与されるアノラック・ゲームが開催されていた。ハリデーがオアシス内に隠したとされるイースターエッグを探すエッグ・ハンター、通称ガンターが日々3つの鍵とそれを手にするための関門となるゲームに挑んでいた。 

レディ・プレイヤー1 - Wikipediaより)

スピルバーグ久しぶりの完全エンタメ系作品なので、あんまり難しい事は気にする必要ありません。車があればカーレースがあって爆発するし、主人公は間一髪でピンチを逃れられるし、逆になんかややこしい伏線とかはありません。

キャラクターもたくさん出てきますが、このキャラクター知ってないと楽しめないとかはないです。あえていうなら映画「シャイニング」は見ておいたほうが楽しめます。

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ガンダム」で勘違いされがちなのだが…

作中でもガンダムメカゴジラのシーンがあることもあって、日本をメインとしたオタクカルチャーに強く寄ってると思ってしまいがちなのですが、実はこの映画、作中では一言もオタクカルチャー云々っていうセリフはないんですね。オタクカルチャーとかではなく、一貫して「ポップカルチャー」っていう言われ方をしてます。

実際に作中で出て来るカルチャーでも、例えば音楽なら主人公たちが入るディスコではNew OrderのBlue Mondayがかかってたり、ヒロインの女の子がJoy DivisionのTシャツ着てたり(ニューオーダー繋がり!あの子が好きなのかなとか思うと泣けますね!)、ハリデーさんの好きな音楽は「ラジオスターの悲劇」、好きなPVは「テイク・オン・ミー」らしいとか。映画だとまんま「シャイニング」のシーンが引用されてたり、BTTFのデロリアンが出てたり(飛べる機能はないらしいが、タイヤはたためるという謎のこだわり…というか課金アンロック足りてないだけな気もしますがw)と、多岐にわたってます。

要は、この映画って80年台ポップカルチャー、もっと広く考えると全てのエンタメ作品に対する敬意と感謝でできてるんです。

「現実も重要である」というラストについて

ラストでは「現実も大事だよ」みたいなことを明言してしまっているラストになっています。

ネット上でも「映画自体は面白かったけどあのラストは納得いかない」という意見が散見されて、僕もいまいちピンと来てませんでした。

ただ、よく考えるとそれって我々が無意識のうちに「ゲーム / 現実の生活」っていう対称性を持ってしまっているからだと思うんですよ。前述の通り、今まで自分が味わって血肉にしてきた作品への深い感謝をモチーフにしている以上、単に現実に戻って仕事しようぜとか普通の生活をしようぜっていうと、やっぱり違和感が残ります。では、逆にゲームと他のエンタメ作品を比べてみてはどうでしょうか。ゲームが悪いわけじゃなくて、映画も音楽も本も素晴らしい作品が世の中には沢山ある。そういうものを探してみるのもいいんじゃないかな。そう言いたかったと考えると、しっくりまとまるのではないでしょうか。

「俺はガンダムで行く」

作中、ダイトウというキャラクターが「俺はガンダムで行く」というセリフを発します。

これがいいんですよね。俺はガンダムで行く。世の中には沢山のロボットがあるし、その中にはガンダムより強いロボットも沢山いる(メタ的に言えば知名度とかそういうのもありそうですが…)。でも俺が強いと思ってるロボットはガンダムなんだ。だから俺はガンダムで行くんだ。って事ですよ。

君は何で行くのか。

ガンダムじゃなくてもいい。

ロボットですらなくてもいい。

お前はお前のガンダムで行け。

そういう、何か子供っぽいと言われればそうなんだけど、根源的な喜びみたいなものも感じられる映画でした。

僕なら何がいいかなと考えてガンバスターがいいかなと思いついたのですが、あれ一人だと操縦できるのだろうか…(笑)