僕たちが見たかったバットマンはこれだった。「ニンジャバットマン」レビュー

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見てきましたニンジャバットマン。細かい瑕疵はありつつも、それでもやはり…特にDC好き、しかもここ数年のDC映画にモヤモヤしていたDC好きにとっては…大傑作と言ってもいいのではないでしょうか。

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あなたを『ニンジャバットマン』へといざなう6つのポイント より)

大傑作であると言えるのは何故なのか、DC映画の歴史も絡めて書いてみます。

DC映画は「ダークナイト」の呪いに囚われ続けていた

こんなブログまでわざわざ見てくれているあなたは、恐らくは「ダークナイト」もご覧になっている事かと思います。もしご覧になっていない方は、今すぐ見られる事をお勧めします。ヒース・レジャーの鬼気迫る演技もあって、素晴らしい強度を持った映画になっています。

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ただ、惜しむらくは、その強度が凄すぎたこと。
ぼくは常々「ダークナイトの呪い」だと思っているのですが、このたった一本の映画によって、その後のDC映画全ての方向性が決まってしまったんですね。近年の映画だと、ワンダーウーマンはそこまでではなかったものの、ダークナイト・ライジングはもちろん、ジャスティス・リーグなんかもちょっと暗かったですね。(但しこの項、若干意図的にDCEUとそれ以前のを含めて書いています)
もちろん元々のバットマンというキャラクターの性質上、表に出る存在ではなくあくまで自警団であるためということはありますが、それにしても暗い。ジャスティス・リーグでも明るい系キャラのはずのスーパーマンまでめっちゃ暗かったですからね。目玉だけ動くところとかすげー怖かった…。

ニンジャバットマン」はストーリーがとにかくクレイジー

では翻ってニンジャバットマンではどうだったかというと、もう暗いとか明るいとかの次元を通り越して狂ってました。

だってタイムスリップまでのエピソード、冒頭五分で全部済ませるんですよ!

ゴリラグロッド(↓こいつ)が子安声で「ゴリラは常に二手三手先を考えて行動するのだ」とか言うんですよ!(なんで子安さんゴリラ好きなん…?)

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城が合体して巨大ロボになるんですよ!(書いてて意味不明だけど)

その後ニチアサっぽいカメラに向かってダッシュ+後ろで大爆発とかあるんですよ!

城ロボに対抗して猿とコウモリが合体して巨大バットマンになるんですよ!(さらに意味不明だけど)

欠点はやはり上映時間の短さか

記事の冒頭でも少し書きましたが、詰め込みすぎてて説明不足というか、掘り下げが少し足りない感はやはり出てしまっていました。

ただ、これ以上この密度でやられると見てるこっちの身がもたん!もしくは引き伸ばされて薄くなっても困る!というところもあるので、難しいところです…。

それでも「ダークナイト」の呪いに立ち向かうことについて

(ここから先はネタバレなのでご注意ください)

実はこの映画、終わり方としてはダークナイトと全く同じ構造になってます。

「俺はお前を殺せるけどお前は俺を殺せない」って言いながらバットマンと戦うジョーカー。彼はバットマンにも自分と同じ側、人を殺せる側に来てほしいんですね。自分とバットマンとは狂ってる方向性が違うだけで、違いは人を殺すことができるか、それともできないか。この辺はダークナイトの作中でも何度も語られています。

ダークナイトでは最後にバットマンジョーカーが戦うシーンで、ビルから落ちようとするジョーカーをバットマンが助けて宙吊りにするという、文字通りストーリー自体が宙ぶらりんになったまま終わります。一応捕まえることには成功したものの、恐らくは今後もまたアーカムアサイラムを脱獄して同じことが起きるということが示唆されて、後味の良くない、薄気味の悪い終わり方をするんですね。

ニンジャバットマンの終わり方も全く同じで、城から落ちるジョーカーをすんでのところでバットマンが助けるんですが、不思議と後味がいいんですよ。これが映画自体の雰囲気によるものなのか何かはわかりませんが、何にせよ見ている方は少しバットマンのこれまでが救われたような気分になります。

さらに、上でも少し書いた巨大バットマン。デザインがまんまテレビドラマシリーズのものなんです。なんです。1960年代に放送されたで、アダム・ウェストが主演しているコレですね。

これを踏まえて考えると、ニンジャバットマンダークナイトを乗り越えた上で、昔の作品も踏まえて、さらに先に進もうという明確な意思を持った上で作られた作品だということがはっきりしてきます。

と、ここまで書いたところでなんとなく検索してみたら、里見哲朗さん(ギャラクシーエンジェルでお葉書コーナーに出てきたマイケルサトミリア君だ!)が、Twitterで同じことを一言で言い表してました(笑)

ということで

いろんな方向に尖った作品ではあるので、人を選ぶのは事実だと思います。(特にバットマンの今までのシリーズ全然わからないっていう人にはちょっと厳しいかも)

逆に言うといろんな方向に尖ってるので、バットマン好きだけではなくてニチアサ好き、「とにかくドッカンドッカンいってる映画が好き」みたいな人も見て楽しめる映画なんじゃないでしょうか。

見てからブログを書くまでにちょっと時間がたってしまったのですが、まだやってる映画館もありますので、是非映画館で見てみてください。これは映画館で見てこそという感じのある映画なので、「ソフト化してからでいいかな」と思ってる人は家のテレビで見ると後悔すると思います(笑)